車を買い替える際、多くの方が「下取り」を利用されます。ディーラーに今の車を査定してもらい、新車の価格から差し引いてもらう──この流れは一見スムーズで合理的に見えるでしょう。
しかし、元ディーラー営業マンとして申し上げると、この「下取り」は想像以上に“操作”されているのが実情です。場合によっては、10万円、20万円という損失を知らずに被っている方も少なくありません。
本記事では、営業現場の経験をもとに、下取り価格がどうやって決まるのか、そしてその裏で何が行われているのかを詳しくご紹介します。
なぜ“下取り”の価格はブラックボックスなのか
まず前提として知っておいていただきたいのは、「下取り価格＝市場価格」ではないという点です。ディーラーが提示する下取り金額は、実際の相場というよりも、営業マンが“値引き調整用のツール”として活用しているケースが多いのです。
例えば以下のようなやり取りを経験された方も多いのではないでしょうか？
「本体価格はこれ以上難しいですが、下取りならもう少し頑張れますよ」
これは一見すると親身な対応に思えますが、実際には“本体値引きを抑えて、下取り額を操作して全体を安く見せている”だけのケースも少なくありません。
下取り価格は“逆算”されている
商談の現場では、お客様の希望予算から「逆算」して下取り額を調整するという手法がよく使われます。
たとえば、
- 車両本体価格＋諸費用：320万円
- お客様のご予算：300万円
このような場合、営業マンは「下取り額を20万円上乗せ」して帳尻を合わせることがあります。
つまり、査定基準で出た下取り額ではなく、「売るために都合のいい金額」として提示されることがあるのです。
なぜ下取りより買取のほうが高くなるのか？
こうした実態を知ったうえで、「じゃあ買取専門店に売ったほうがいいのでは？」と思う方も多いと思います。まさにその通りで、実際、下取りよりも買取業者のほうが高額査定になる可能性が高いのです。
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ディーラーの下取りだけで決めてしまう前に、まずは愛車の「正当な価値」を知っておくことが損をしない第一歩になります。
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損をしないためにすべきこと
営業マンとしての経験から申し上げると、最も重要なのは「下取りと買取、両方を比較すること」です。以下のステップを踏んでみてください。
ステップ1：事前に買取査定をとっておく
オンライン査定や一括見積もりサービスを利用し、複数社の査定額を比較しておきましょう。
ステップ2：ディーラーに対して買取価格を伝える
「他社では○○万円の査定が出ている」と伝えれば、営業マンも本気の価格を提示せざるを得なくなります。
ステップ3：下取り価格ではなく“支払総額”で判断する
値引きと下取りはセットで調整されることが多いため、下取り額だけでなく「乗り出し価格（総額）」で判断することが重要です。
元営業マンの本音として伝えたいこと
営業時代、私は「下取り額をうまく調整して、希望額に近づける」という技術を当たり前のように使ってきました。
お客様のためと思ってやっていましたが、今なら言えます。
「下取り価格は、知識がある人とない人で大きな差がつく領域」です。
ディーラーを信じるなとは言いません。ただし、「すべてを鵜呑みにしない」ことが、損をしない第一歩だと、今では強く感じています。
下取り額が本当に妥当かどうか、ぜひ一度ご自身の目で確かめてみてください。
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